「非嘔吐過食はただの食べ過ぎでしょ?」
そう思われることも多いかもしれません。
たまにドカ食いをして、心もすっきり切り替えられるのであればそれもストレス解消の一つの手です。
しかし過食症の場合は、大量に食べてその時ばかりは心が満たされたような感覚になりますが、後悔したり、自分を責め続けたり、食べたい気持ちから明らかに生活に支障がでてきます。
そうなると、それはただの食べ過ぎで済ませる問題ではなく、しっかりと向き合って解決していくことが必要です。
つらい非嘔吐過食から抜け出すためには実は「ただの食べ過ぎ」に変えていくことが一つの目標となるのです。
今回は「ただの食べ過ぎに変える」ということについて解説していきます。
参照:お菓子をあるだけ食べてしまう時に確認したい5つの対処法
目次
非嘔吐過食はただの食べ過ぎではない
非嘔吐過食はただの食べ過ぎとみられてしまい、怠けているだけだとか、努力が足りない人、自己管理ができない人と言われてしまうこともあります。
たしかに、過食嘔吐と比べてただ食べ続けるので、太って体型が変わってしまうスピードも速いです。
太ってしまうことで「自己管理ができない」「だらしない」と思われてしまうではないかと不安になります。
今までダイエットをしてきた人であれば、ただリバウンドした人だと思われて「努力が足りない」「やり方が間違っている」と責められたり、自分自身を責めることもあるでしょう。
非嘔吐過食はただの食べ過ぎではなく摂食障害の一つです。
病院での診断基準は?
摂食障害のひとつである神経性過食症の診断基準としてアメリカ精神医学会のDSM-IVという基準がよく用いられます。
過食はむちゃ食いとも呼ばれます。
むちゃ喰いは、一定の時間内にほとんどの人が同じ時間・状況で食べる量よりも明らかに多量を食べ、食べることを止められない感覚を伴います。体重増加を防ぐための絶食や嘔吐、下剤・利尿剤乱用などの代償行動を行います。
自己評価は体型・体重に強く影響され、やせ願望や肥満への恐怖、身体像の障害も伴います。
むちゃ喰いと代償行動の頻度が少なくとも3ヶ月間にわたり週2回以上の場合、神経性過食症と診断します。
拒食症の基準にも過食症の基準にも合致しない摂食の障害は「特定不能の摂食障害」といいます。
非嘔吐過食において代償行為は絶食や過活動、吐けないかわりに下剤を使用することもあります。
代償行為がないむちゃ食いもあります。
病院での治療とは?
治療には心身両面からの働きかけが重要です。
治療者との信頼関係の構築、栄養状態の改善や身体症状・合併症の治療、不安や抑うつなどの情動面の改善、適切な食習慣の形成、食事や体重に関する信念や価値観の改善を行います。
自己評価が低く、完璧主義の傾向があり、大人になること自立・家族との関係・対人関係・社会生活について課題を抱えています。
病院においては心理教育・認知行動療法・対人関係療法・家族療法・社会的技術訓練などを組み合わせた統合的治療が推奨されています。
病院には足を運びづらく、ひとりでがんばろう、なんとかしようとすることも少なくありません。
そして多くの場合食事制限だけがんばってみたり、痩せれば解決するものではありません。
ではどうしたら辛い非嘔吐過食から抜けられるのでしょうか。
現状打破していくためのヒントをお伝えします。
1. 非嘔吐過食をただの食べ過ぎに変えていく!
非嘔吐過食はただの食べ過ぎではない、と言いましたが、つらくてしんどい過食から抜け出すためには、過食ではなく「ただの食べ過ぎ」もっというと「たくさん食べたね」と食べたことを否定しない・自分を責めない状態にすることが目標になります。
どういうことかというと「まあいっか」を増やしていく、つまり「自分を許す」ことを増やしていくのです。
そのために「たくさん食べたけれど美味しかった」を増やすことが大切なポイントです。
今回はおいしかった!を増やすためにできることを上げていきます。
何をたべているか味わう、食べることに集中する
過食するとき、最初は「おいしい」と思いながら食べていることもありますが、食べ進めるうちにただ詰め込んでしまっていることはありませんか?
特に過食は衝動的に食べる、隠れて食べることなども多く「歩き食い、立ち食い、運転しながら、トイレで」など、本来食事の場所ではないところで過食しているかもしれません。
その食べ方をまずは変えていきましょう。
過食してもいいので、まず「味わう、食べることに集中」してみてください。
食事をする環境が整っている場所で食べてみよう
キッチンで立ち食いしたり、床に広げて食べていませんか?
買ったものをそのまま歩きながら、運転しながら食べたり、隠れて詰め込んでいませんか?
その状態を、テーブルとイスなど食事をする場所でとることで、落ち着いて食べ物と向き合い、衝動的に詰め込むことを減らすことができます。
過食してもいいから、せめてテーブルで、座って、食事を摂る体勢で、がポイントです。
詰め込みはやめる
とにかく満たしたいこともあります。
だけど、ただただ詰め込んで食べることを意識的に減らしてみましょう。
食事を摂る環境が整えられないなら、まずは味わって食べることからはじめてもよいです。
大量だとしても、詰め込むのではなく、しっかり「食べる」ことを意識してください。
参照:過食で吐けない時下剤で解決できる?吐けない過食と下剤の付き合い方ポイント3つ
2.過食だけしない、まず食事を摂る
過食をしたからと言って、食事を抜いたり、是食したり、小食にしたりしていませんか?
調整しようとするほど、過食を繰り返してしまう場合があります。
太るのが怖い、と思っても、過食をなくすことより、まず先に食事を摂ることを目指してみましょう。
食事を摂ることで、体の食欲の波、血糖値の乱降下を防ぎ、過食したくなるようなイライラや空腹感を減らしてくれます。
まとめ
非嘔吐過食はただの食べ過ぎと言われ、自分でも「ただの食べ過ぎなんだから、とにかくやめよう」と思うかもしれません。
しかし、やめようと思うほど欲求は強くなるものです。
過食をしないことを頑張るのではなく、まずは食べ方を変えることからチャレンジして、「たくさん食べたけど美味しかった!」を目指していきましょう。
〈参考文献〉
e-ヘルスネット 摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-005.html (2022.2.4閲覧)